Microchip社の8ビットPICマイコンに統合開発環境 MPLAB X IDE を使ってサンプルプロジェクトを書き込みます。書き込むサンプルプロジェクトは「Device HID Mouse」です。マイコンボードをPCに接続するとマウスカーソルがぐるぐる回り始めます。記事の最後でmouse jigglerとしての利用方法を紹介します。
開発環境構築については、MPLAB X IDE と MPLAB XC8 Compiler のインストール手順 を参照してください。
用意するもの
1.ターゲットボードとして:超小型切手サイズPIC18F14K50マイコンボード
秋月電子で800円。長年ベストセラーのとても使いやすいマイコンボードです。
パソコン、スマホなどとUSB接続ができます。電源はUSBから供給可能です。
2.書き込みツールとして:PICkit 3
定番の書き込みツールですが正規品は販売終了したようです。互換品がAmazonにたくさん出品されています。互換品の品質が心配な場合は Microchip PICkit 4 正規品 を使いましょう。
互換品では こちら が比較的安定しているようです。
MLAのセットアップ
Microchip社のホームページから Microchip Libraries for Applications というライブラリをダウンロードします。
1.Microchip Libraries for Applications (MLA) | Microchip Technology にアクセスします。
2.ページを下にスクロールして、最新のWindowsバージョンの「D/L」をクリックします。
3.ダウンロードした mla_v2018_11_26_windows_installer.exe を管理者として実行するとセットアップが始まります。
「Next >」をクリックします。
4.「I accept the agreement 」をチェックして、「Next>」をクリックします。
5.インストール先は変更せずに「Next>」をクリックします。
6.Select Components 全部チェックして「Next>」をクリックします。
7.Start Menu Group Name 変更せずに「Next>」をクリックします。
8.Ready to Intall で「Next >」をクリックするとインストールが始まります。
9.ここで、PCにJavaが入っていない場合は、以下の表示が出ます。
「はい」をクリックしてJavaのインストールを開始します。
10.Javaのダウンロードページが開きます。
11.ページを下にスクロールして「Agree and Start Free Download」をクリックします。
12.ダウンロードした JavaSetup8uxxx.exe を管理者として実行するとJavaのインストールが始まります。
13.Javaが正常にインストールされたら「閉じる」をクリックします。
14.Javaのインストールが完了したら、Microchip Libraries for Applications のセットアップに戻ります。
「はい」をクリックします。
15.セットアップが完了したら「Finish」をクリックします。
16.リリースノートが開きますので、興味がある場合は読んでください。
リリースノートは C:/microchip/mla/v2018_11_26/doc/release_notes_mla.htm などのパスに保存されています。
サンプルプロジェクトの書き込み
1.MPLAB X IDE を起動し「File」→「Open Project」をクリックします。
2.C:\microchip\mla\v2018_11_26\apps\usb\device\hid_mouse\firmware\low_pin_count_usb_development_kit_pic18f14k50.x を選択し「Open Project」をクリックします。
3.「Projects」ウインドウの「USB_Device_-HID-_Mouse」を右クリックして「Properties」を選択します。
4.Connected Hardware Tool の「Show All」をチェックしてプルダウンメニューから「PICkit3」を選択し「OK」をクリックします。
「OK」がグレーアウトしている場合は MPLAB X を再起動します。
5.もう一度「USB_Device_-HID-_Mouse」の「Properties」を表示して「Categories」から「PICkit 3」を選択し、「Option Categories」を「Power」にして、「Power target circuit from PICkit3」のチェックボックスをチェックし「OK」をクリックします。
「Voltage Level」は3.375のままで問題ありません。
6.もう一度「USB_Device_-HID-_Mouse」の「Properties」を表示して「Categories」から「PICkit 3」を選択し、「Option Categories」を「Firmware」にして、「Use Latest Firmware」のチェックボックスをチェックし「OK」をクリックします。
7.マイコンボードとPICkit 3 を接続し、PICkit 3 とパソコンをUSBで接続します。
8.「Make and Program Device 」ボタンをクリックします。
9.「PICkit3 not Found」が出たら「Show All」「PICkit3-SN:*****」を選択し[OK]をクリックします。
10.「Do you wish to continue?」には「OK」をクリックします。
11.「Output」の「PICkit3」ウインドウに「Programing/Verify complete」の表示が出たら書き込み完了です。
12.USBを抜き、PICkit3とマイコンボードを外します。
動作確認
マイコンボードをUSBでパソコンに接続します。
マウスポインター(カーソル)が勝手にグルグル回り始めたら成功です。
mouse jigglerとして利用
MPLAB X IDE で「Projects」ウインドウの「Source Files」の下にいる「app_device_mouse.c」を開き、172行目を以下のように書き換えて、マイコンボードにPICkit 3でプログラムを書き込みます。
//#define MOUSE_MOVEMENT_DISTANCE 400
#define MOUSE_MOVEMENT_DISTANCE 2
マウスカーソルの動きが極小になり市販のmouse jiggler(マウスジグラー)と同じように使うことができます。
これをPCに刺しておけば作業から離れている間にPCがログアウトしたりスクリーンセーバーに入るのを防ぐことができます。在宅勤務、テレワークで、Teamsが不在表示になるのを防ぎたいという場合にも使えます。カーソルの動きが物足りない場合は「#define MOUSE_MOVEMENT_DISTANCE 2」 の「2」をもう少し大きくしてみてください。使用は自己責任でお願いします。